鳥の血液検査というと、飼い主さんの中には危険なのでは?と思う方も居られると思います。しかし一般検査の中で、血液検査ほど病気の有無や程度を客観的に判断させる検査はありません。鳥から血を抜くこと自体はさほど危険な行為ではありません。実際には鳥を抑えること自体を気を付けなければならないのです。この項では、鳥の採血法と検査意義について解説します。

採血のリスク判定

病気の鳥の全てが採血できるわけではありません。小さい動物ですので、状態が悪ければ採血は危険です。鳥の採血で何が危険かというと、それは採血による血液の喪失ではなく、保定によるストレスです。鳥は出血に対しては比較的強く、事故等によって大量に出血してもかなり貧血に耐えてくれます。しかし鳥は保定をすると、必ず逃れようと動くため、すぐに血中の酸素濃度が低下し、緊張によるアドレナリンの分泌で状態の悪い鳥では循環器に影響が出る可能性があります。よってもし鳥が採血によってショックを起こすとすれば、それは乏血性ショックではなく、精神性ショックであると考えられます。
よって採血の際には、リスク判定を十分に行ってから行うかどうかを決めなければなりません。特に下記の点に注意します。
(1) ボディコンディションが極端に低く、力強さが無い場合。
(2) 保定を極端に嫌がり、力強く暴れる場合。
(3) 腹部膨大がある場合。
(4) 呼吸器症状がある場合。
(5) 貧血している場合。
(6) 重度肥満症の場合。
これらの状態の時には絶対に採血してはいけないと言うことではなく、抑えても大丈夫な様子がある場合には採血することもあります。

採血部位

鳥の採血部位はいくつかありますが、採血量や採血目的、保定のし易さによって採血部位を決めます。

右頚静脈

鳥の最も一般的な採血部位は、右頚静脈です。右側の頚静脈は、左側に比べ血管径が太く、セキセイインコ やブンチョウなどの小型鳥でも十分採血が可能です。インコ・オウム類、フィンチ類の飼い鳥には、頚部に左右対称性に 羽根が生えていない部位(無羽域)があります。このためアルコール綿で周囲の羽根を除ければ、容易に頚静脈が目視でき ます。
採血は、セキセイインコやオイカメインコなどの小型鳥の場合は、頚部を左手の人差指と中指ではさみ、頚部を伸ばすように保定 します。(右利きの場合)そして親指で、駆血して血管を怒張させます。この時血管は、食道の下へ逃げやすいため、綿球などを用いて、食道が上がってこないように工夫を します。また頚気嚢に空気が入り込み膨らみやすいので、これも親指で排気し押さえておくように します。

ヨウムやバタンオウムなどの大型鳥の場合は、タオルを使って保定者が頚部を伸ばすように保定 します。採血者は、左手で血管を駆血して血管を怒張させます。針の刺入方向は、 病院によって異なりますが、当院では、頭側から尾側に向かって刺しています。

上腕静脈

上腕静脈は、前腕の浅尺骨静脈と深尺骨静脈が肘関節部で合流した起始部から、腋下静脈までを走る上腕部の静脈です。翼の腹側面には羽毛が少量しか生えていないので、アルコール綿で羽根を除ければ、容易に血管が目視できます。ニワトリなどの大型の鳥や頚部に無羽域のないハトからの採血に使用します。
採血は、上腕部を駆血し、浅尺骨静脈と深尺骨静脈の合流部に針を刺入しますが、皮膚が非常に薄いため、針は前腕部の腱の下を通して血管の下面から刺入するようにします。

鳥の爪は内部に血管が伸びているため、爪を深く切ることによって出血します。これを毛細管にて採取することで、少量の採血が可能です。出血速度や量は、個体差がかなりあり、鳥の状態によっても異なります。特に体温が下がっており、末梢循環がよくない鳥の場合は、爪を切ってもほとんど出ないこともあります。また逆に心疾患等で血圧が高い鳥は、出血速度が速く、出血量も多くなります。
爪から採取した血液で注意しなければならないことは、静脈から採血した物と生化学検査値が若干異なることがあることです。これは、爪からの組織液混入や溶血、腎門脈の存在が原因です。特にLDH、CPK、AST、UA値が高めに出る可能性があります。
爪からの採血は、採血後に痛みを伴うため、一般的には使いません。爪を採血部位として使うのは、血管に針を刺すことの方がリスクがある場合や手術直前の検査の時などです。
実際には、爪からの採血よりも頸静脈からの採血した方が、保定時間が短くてすみます。

脛骨静脈

脛骨静脈はふしょ部の内側に位置し、第一趾付近を起始部とし、膝関節で外腸骨静脈へと流入する下腿部の静脈です。針の刺入部位は、第一趾のやや頭側よりであり、頭側方向へ刺入します。
鳥の血液検査をする際には、腎門脈の存在から、この血管からの採血は一般的ではありません。しかし腫瘍の存在などの理由によって頚静脈または上腕静脈からの採血ができない場合の、第三選択部位として使用します。またこの血管は、アヒルのような大型鳥の場合、カテーテルを留置しやすく、手術の際の血管確保にも利用できます。

採血量

鳥の総血液量は体重の10%であり、このうち採血可能量は10%です。つまり体重の1%までであれば、安全に採血可能です。例えば35gのセキセイインコであれば0.35cc、90gのオカメインコであれば0.9cc採血が可能です。血液中の血球の割合にもよりますが、通常0.3ccあれば血球計算とひと通りの生化学検査が可能です。もし生化学検査に供する血漿が不足してしまった場合は、精製水で血漿を希釈して測定を行うこともあります。

全血球計算(CBC)

院内でできる血液検査には、大きく分けて全血球計算(CBC)と生化学検査の2つがあります。ここでは、検査の意義について解説します。

赤血球

鳥の赤血球は卵円形であり、中央に卵円形の核を有する有核赤血球です。哺乳類の赤血球に比べて大きいため、酸素運搬能が高く、より激しい運動を可能にしています。赤血球の半減期は28~45日で、犬猫に比べ短いです。この短い半減期は臨床上重要で、鳥が貧血しやすいことを意味します。

I 総赤血球数
 1μL中の赤血球数を測定します。鳥の赤血球には核があるため、一般的な自動血球計数器では測定できません。海外では、レーザーフローサイトメトリー法による計数を行っている検査所もあります。院内では、血球計算板を用いて顕微鏡下でカウントします。
総赤血球数の減少は、貧血を意味します。貧血は、長引く食欲不振や出血、溶血、造血異常によって起こります。
増多は、脱水や低酸素症によって起こります。低酸素症は、循環器疾患や呼吸器疾患によって起こります。

II PCV/ヘマトクリット値 (赤血球沈殿容積)
 PCVまたはヘマトクリット値とは、赤血球沈殿容積のことで、血液中の赤血球の割合を示したものです。
減少は、貧血または赤血球の小型化を意味します。
増多は、脱水や低酸素症によって起こります。

III ヘモグロビン
 ヘモグロビンとは、血液中の血色素のことです。測定は、生化学検査機器で測定します。
減少は、貧血を意味します。
増多は、脱水や低酸素症によって起こります。

IV 赤血球像
 鳥の赤血球は細胞質に富み、哺乳類の赤血球の細胞質に似た、オレンジピンクに染色されます。成熟した赤血球の核は濃縮され、暗紫色に染色され、また核のクロマチンは一様に凝縮されています。赤血球の核は、日齢によって変化し、加齢と共に濃縮され、より暗色に染色されるようになります。
鳥の赤血球では普通に散在性の多染性が見られます。多染性赤血球には好塩基性の細胞質を持ち、成熟赤血球に比べ濃縮されていない核を持つ赤血球がみられます。
未成熟な円形または卵円形の核をもった円形赤血球が、特に貧血の鳥で、時折見つかることがあります。これは、加速した赤血球生成に起因する核および細胞質の非同期成熟を示しています。これは中リンパ球または反応性リンパ球と間違えやすいので注意しなければなりません。
またまれに無核赤血球や核位置が変異した赤血球、核が突出した赤血球、双極または片極性の有棘赤血球が見られることがあります。これらは貧血の際に出現するかあるいはアーティファクトです。核周囲の輪や細胞質の難染色部位は通常アーティファクトです。
ニワトリや輸入したてのオウム類では血液原虫やフィラリアなどにも注意しなければなりません。

白血球

鳥においても白血球から得られる情報は臨床上重要です。特に血液塗抹標本から得られる情報は有用で、採血量を多く採れない病態の鳥においても、爪からの微量な血液で塗抹検査ができます。

I  総白血球数
 白血球数も赤血球や栓球に核があるため、一般的な自動血球計数器でカウントすることはできません。よって白血球も赤血球と同様に血球計算盤を用いてカウントを行います。また血液塗抹標本を用いて総白血球数を概算することもできます。
総白血球数の増多は、感染、炎症、ストレスなどを意味します。
減少することは少ないですが、ヨウムのPBFD急性感染時には典型的です。その他免疫抑制、重度細菌・ウイルス感染、中毒などでもみられることがあります。

II 白血球像:ヘテロフィル
 ヘテロフィルは偽好酸球ともいい、哺乳類の好中球にあたるもので、その役割も類似しています。好中球との違いは、ペルオキシダーゼと酸性ホスファターゼを欠くことです。また形態にも明らかな違いがあり、ヘテロフィルには桿状または紡錘状の顆粒があり、ピンクまたは暗いブルーをしています。通常核は分葉しており、細胞質は透明か薄いブルーです。
白血球増多症は、通常ヘテロフィルの増多によって起こります。ヘテロフィル増多症を起こす原因は、主にストレスと炎症です。飼い鳥は、ストレスを感じやすく、病気の時やそれによる食欲低下から来る生理的なストレスのみならず、移動や診察によるストレスによってもヘテロフィル増多症が引き起こされます。よってヘテロフィル増多症が全て異常を示しているわけではないということに注意しなければなりません。また若い中型から大型のインコ・オウム類は、成鳥よりもヘテロフィルが多い傾向があります。
主に感染による炎症性疾患時には、通常ヘテロフィル増多症が見られます。ヘテロフィルは、哺乳類の好中球と同様に、炎症部位に浸潤し、細菌等を貪食します。ヘテロフィルは、増多によって、好中球のように桿状核の出現(左方偏位)が見られることは通常少なく、中型から大型のオウム類における重度の細菌感染やクラミジア感染等による敗血症時に見られる程度です。
ヘテロフィル減少症は稀ですが、グラム陰性菌による敗血症や急性PBFD感染症時に見られます。
ヘテロフィルの中毒性変化は、しばしば見られます。中毒性変化を起こしたヘテロフィルには、細胞質の好塩基化や空砲化、脱顆粒、核の融解や崩壊などが見られます。また好酸球に類似した形状になることもあります。中毒性変化を起こす原因は、主に細菌やウイルス、クラミジアによる敗血症です。また加齢や高脂血症時にも中毒性様の変化が見られることがあります。

III 白血球像:リンパ球
 鳥のリンパ球は、その形態や大きさの違いから小、中、大リンパ球に分類され、またリンパ球以外の細胞と類似することがあるため、鑑別がやや難しい。特に小リンパ球と円形幼若赤血球、栓球の鑑別、大リンパ球と単球の鑑別に気を付けなければなりません。
リンパ球の増多は、通常免疫刺激と関連しており、ヘルペスウイルス、PBFDウイルス、ポリオーマウイルス(BFD)などのウイルス の急性感染症時に見られます。
リンパ球の減少は、ストレスによるヘテロフィル増多症に伴って見られることがありますが、通常これは相対的な減少であり、異常ではありません。またファブリキウス嚢に障害を与えるようなウイルスの慢性感染(PBFD等)でも見られることがあります。
反応性リンパ球は鳥ではしばしば見られ、特に細菌、真菌、クラミジア感染などの炎症性疾患時にリンパ球は、反応性リンパ球に変化します。これは免疫系が感染に応答していることを示しています。反応性リンパ球の核は、正常リンパ球と同様、円形であるが、強い好塩基性の細胞質を持っています。
幼若リンパ球は通常末梢血中に見られることはありませんが、リンパ性の腫瘍の場合に見られることがあります。幼若リンパ球は、クロマチンの濃縮が少ない大きな核を持ち、やや偏って存在します。細胞質は強い好塩基性で、空胞が存在することもあります。

IV 白血球像:単球
 単球は、大リンパ球に似ているため、鑑別が難しい です。よって見る人によって判断に違いが出るため、参照値は文献によって異なります。単球は、円形から不正形であり、核も円形から不正形、時に2分葉であり、犬猫のような馬蹄形の核は少ないです。核のクロマチンの濃縮は少なく、網状の構造をしています。細胞質は微細な顆粒状で、好塩基性であり、空胞や好酸性の顆粒が時折見られます。これに対し大リンパ球は、円形から不正形と形は類似するものの、核は円形からやや陥凹しており、クロマチンは濃縮塊もしくは、網状です。細胞質は均質で、薄い好塩基性です。
単球の増多は、感染性の炎症性疾患時に見られ、特にアスペルギルス症、細菌性肉芽腫、クラミジア感染症、慢性細菌性皮膚炎、サルモネラ症、結核症などに多く見られます。

V 白血球像:好酸球
 好酸球は、ヘテロフィルの形態に類似しますが、明らかに構造が異なるため、慣れれば比較的鑑別は容易です。好酸球は通常円形で、分葉した核を持ち、細胞質内に円形の好酸性顆粒があります。顆粒は、小さいものから大きいものまであり、また弱い好酸性を示すものから強い好酸性を示すものまであり、一定しておらず、同種間でも形態が異なります。顆粒形態の違いと病態との関係はわかっていません。顆粒はしばしば染色されず、透明に抜けていることがありますが、これは常にアーティファクトです。細胞質は無色から弱い好塩基性です。
好酸球の増多は、哺乳類と違い、あまり見られず、過敏症やアレルギーと見られる疾患時においても起こるわけではありません。鳥では、気嚢ダニ、消化管内寄生虫、手術後や外傷の48時間以内などに見られますが、必ずしも起こるわけではありません。また好酸球の増多は、オカメインコに多く見られ、特にヘキサミタ(Spironucleus sp.)感染時の自咬症の時に起こります。しかしこれは、寄生虫によるものではなく、皮膚の損傷によるものとも見られています。

VI 白血球像:好塩基球
 好塩基球は通常円形であり、円形から卵円形、時に2分葉した核を持ち、細胞質内に円形の強い塩基性の顆粒があります。顆粒には2つのタイプがあり、大きい紫色の顆粒と小さい暗紫色の顆粒があります。細胞質は無色または弱い好塩基性で、ほとんどは顆粒で埋め尽くされています。
好塩基球の増多は、飼鳥では稀であり、気嚢ダニ、センキセイインコやオカメインコ、ボウシインコのクラミジア感染症、呼吸器感染症、手術後や外傷の48時間以内などに見られますが、必ずしも起こるわけではありません。

生化学検査

生化学検査とは、血液中の酵素や脂質、電解質、ホルモンを測定し、肝機能や腎機能、代謝異常など内臓の異常を見つける検査です。ここでは、各検査項目の意義について解説します。

AST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)

鳥類では、ASTは主に肝臓に含まれる酵素であり、肝機能の評価に使用されます。しかしASTは、肝臓に特異的な酵素ではなく、骨格筋や心筋にも存在するため、ASTの上昇だけで、肝機能を評価することはできません。
ASTの上昇は、肝細胞の障害によって起こり、細菌や真菌、ウイルス、クラミジアによる感染性の肝炎、肝細胞壊死を伴う脂肪肝症候群にみられることが多いです。その他、外傷や心筋症でも上昇することがあります。
ASTの低下は、加齢や肝疾患後期にみられることがあります。

LDH(乳酸脱水素酵素)

鳥類では、LDHは心筋、骨格筋、肝臓、腎臓、赤血球で活性がみられ、肝臓に特異的な酵素ではありません。LDHは、細胞の障害により急速に上昇し、また半減期が短いため、障害がなくなれば、速やかに低下します。よって少し前の過去を示すのではなく、今現在の障害を示していると考えられます。
LDHの上昇は、感染性肝炎、肝細胞壊死を伴う脂肪肝症候群、心筋症、外傷時にみられることが多い。その他、毛引き症や注射によっても上昇することがあります。腎臓からのLDHは、大部分が尿中に排泄されるため、腎疾患で上昇することはありません。
LDHの低下は、加齢や肝疾患後期にみられることがあります。

GGT(ガンマグルタミルトランスフェラーゼ)

鳥類では、GGTは哺乳類と同様に、肝臓、胆管および腎臓で活性がみられます。腎臓からのGGTは、大部分が尿中に排泄されるため、腎疾患で上昇することはなく、比較的肝臓・胆管疾患に検査上特異的な酵素です。
GGTの上昇は、肝臓、胆管疾患時にみられ、ラブバード類でよく上昇がみられます。

BA(総胆汁酸)

総胆汁酸は、肝機能を最も純粋に示す指標となります。肝臓での特異性が高いため、上昇がみられればすぐに肝機能の低下を診断できます。しかし高くないから肝機能に問題がないとは言い切れません。

AMYL(アミラーゼ)

鳥類でも、AMYLは膵臓から分泌されるデンプンを加水分解する酵素です。鳥類では肝臓からも分泌されるかどうかはわかっていません。通常食後に上昇するため、人では必ず絶食後に測定しますが、鳥類では難しいです。よって上昇が全て異常を示すわけではありません。
AMYLの上昇は、膵炎を示唆しますが、診断には数回の検査を必要とします。またAMYLは、腎臓から速やかに排泄されるため、上昇は腎クリアランスの低下を示唆していることもあります。

ALP(アルカリフォスファターゼ)

鳥類では、ALPは破骨細胞、十二指腸で活性がみられ、肝臓での活性は低いと言われています。よって哺乳類とは異なり、肝疾患の時の診断意義があるかどうかは、まだ分かっていません。
ALPの上昇は、腎性または栄養性二次性上皮小体機能亢進症でみられ、血漿カルシウム値の低下~正常を伴うことが多いです。その他腸炎、発情期の雌、成長期でも上昇が見られます。

CPK(クレアチニンホスホキナーゼ)

鳥類では、CPKは骨格筋、心筋、脳、神経で活性が見られます。同様に骨格筋、心筋で活性がみられるGOT、LDHと共に肝疾患、骨格筋・心筋疾患と鑑別に用いられます。
CPKの上昇は、主に外傷による骨格筋細胞の障害、心筋症、多発性神経炎や腺胃拡張症候群等によるニューロパシィー、脳炎などでみられます。その他筋肉注射後、ビタミンE/セレン欠乏症、鉛中毒、時にクラミジア症でも上昇がみられます。

TCHO(総コレステロール)

 TCHOの上昇は、肝疾患、胆管閉塞、甲状腺機能低下症、高脂肪食、過食、時に腎疾患などでみられます。
TCHOの低下は、低脂肪食、吸収不良症候群などでみられます。

TG(トリグリセライド/中性脂肪)

 TGの上昇は、脂肪肝症候群、糖尿病、甲状腺機能低下症、高脂肪食、過食、飢餓などでみられます。その他発情期の雌、膵炎でも上昇が見られます。
TGの低下は、低脂肪食、吸収不良症候群などでみられます。

UA(尿酸)

鳥では尿酸は、腎臓の遠位尿細管より分泌によって排泄されています。
UAの上昇は、人のようにプリン体の摂取過剰によって起こるのではなく、腎疾患による排泄不全によって起こります。通風結節はインコ類にみられ、フィンチ類にはみられません。排泄は尿細管からの分泌によってなされるため、脱水は影響しないともいわれていますが、実際には脱水によって普通に上昇がみられます。これは脱水による腎血流量の低下が、腎機能低下を引き起こすためと考えられます。その他腎腫瘍や体腔内腫瘤による腎臓の圧迫、鉛中毒でも上昇がみられます。
UAの低下は、肝疾患末期にみられることがあります。

NH3(アンモニア)

アンモニアは、主に腸管から吸収され、その他蛋白異化によっても産生されます。
アンモニアの上昇は、肝疾患時にみられ、重度の上昇は肝性脳症を引き起こします。

TP(血漿総蛋白)

鳥類の血漿総蛋白量は哺乳類よりもかなり低い。血漿蛋白質には、アルブミンとグロブリンがあり、これらの割合を調べるために電気泳動を行うこともあります。
TPの上昇は、脱水、慢性感染症によるガンマグロブリン血症でみられます。また発情期の雌にもTPの上昇がみられます。これは卵黄蛋白前駆物質や卵白アルブミンが肝臓で産生され、血液中に放出されるからです。高脂血症時には、TPは高値を示し、正確に測定することはできなくなります。
TPの低下は、慢性肝疾患、慢性腸炎による吸収不良症候群、腎疾患による蛋白尿排泄、失血、飢餓、低蛋白食によって起こります。

GLU(グルコース)

鳥類の血中グルコースは、哺乳類よりも高く維持されています。これは飛翔という激しい運動に対し、速やかにエネルギーを供給するためです。
高血糖は、通常糖尿病を示唆します。また来院時のストレスや短期飢餓、代謝の低下、腎腺癌のような腎疾患でも起こるため、鑑別しなければなりません。
低血糖は、150mg/dl以下のものをさし、長期飢餓、消化不良症候群で起こります。

Ca(カルシウム)

 カルシウムの上昇は、主に発情期の雌でみられます。これは卵殻形成のための準備であり、エストロジェンの影響で起こります。その他ビタミンD過剰症、脱水、腎疾患でも上昇がみられます。
カルシウムの低下は、低カルシウム食、ビタミンD不足、日光浴不足、低タンパク血症、尿細管上皮障害で起こります。カルシウムの低下は、副甲状腺機能亢進症による多飲、多尿を引き起こします。

P(リン)

 リンの上昇は、腎疾患、溶血でみられます。
リンの低下は、ビタミンD欠乏症、副甲状腺機能亢進症でみられます。

Na(ナトリウム)

 ナトリウムの上昇は、脱水でみられます。
ナトリウムの低下は、腎疾患、下痢、過水でみられます。

K(カリウム)

 カリウムの上昇は、急性腎疾患、副腎疾患、脱水、溶血、組織損傷でみられます。
カリウムの低下は、慢性腎疾患、下痢、嘔吐でみられます。鳥類では、低カリウム血症は少ないです。

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