【医学情報】食事制限の方法について

以前まで鳥は食べないとすぐに死んでしまうので、いつでも食べれるように餌を与えておかなければならないというのが常識となっていました。しかし餌をいつでも食べれるように与えるような飼い方が推奨されるペットは他にいません。もしそれをやればほとんどのペットは食べすぎて太ってしまいます。

鳥は季節発情の動物であると考えられてきましたが、近年鳥の研究が進み、鳥は季節にかかわらず食物が十分にあることが発情の条件であることが分かりました。人の環境は安全で快適であるため、食物がたくさんある状況では、1年中発情することになります。

特にメスにとって発情は、体に大きな変化をもたらします。メスは発情すると、骨にカルシウムを蓄えます。そして卵の成分である脂質とタンパク質、カルシウムが血液中で急激に増加します。この状況が続くと血液はドロドロになり、肝臓、腎臓に大きな負担がかかるため、病気に発展しやすくなります。

また発情せずとも食べすぎて肥満になると、鳥はすぐに脂肪肝を起こし、血液中の脂質が異常なほど増加します。人と同じく鳥の生活習慣病の最も大きな原因は食生活です。食事は質だけでなく、量もしっかり考えて与えなければなりません。

食事制限が必要な場合

必ずしも全ての鳥が食事制限をしなければならないわけではありません。食事制限が必要なのは、次の特徴が見られる鳥です。

  1. 肥満している場合
  2. 慢性発情が見られる場合(肥満していなくても、決まった食事量を与えることで発情抑制につながります。)

餌がいつでも食べられる状態でも、肥満せず、発情が見られなければ、食事制限は必要ありません。

食事制限の方法

食事制限と言うと可哀想なことをしているように感じる方もいるかもしれませんが、食べ放題ではなく、生活に必要な分だけ与える方法になります。自分が生きていくのに必要な量以上の餌があると、ヒナを育てられるので発情すくなるため、食事制限は発情抑制につながります。

ステップ1:1日の食事量を調べる

  1. 餌の量を餌箱ごと重さを測ります。量の測定は、キッチンスケールが便利です。
  2. 1日経ったらもう一度重さを測り、食べた量を調べます。この時皮付餌の場合は、殻を吹いてから測ってください。最低でも1g単位、できれば0.1g単位で測り、記録を付けます。
  3. 3日間ほど餌の量を測り、1日の平均食事量を調べます。

ステップ2:鳥の体重を測る

鳥の体重は、小型〜中型鳥であれば、餌を測るのと同じキッチンスケールで測れます。大型鳥は、大きめのスケールを必要に応じて用意してください。

  1. 体重の測り方は、そのまま乗ってくれる場合は、直接体重測定をします。止まり木に留まれば大人しく測らせてくれるなら、T型ローパーチが便利です。
  2. 大人しく測らせてくれない場合は、プラケースや箱に入れて測ると良いでしょう。この時くれぐれも怖がらせないよう注意してください。
  3. 体重は、朝食前に測定を行ってください。夕方ですと食べた後ですので、体重の変動が大きくなります。

ステップ3:食事量の調整

  1. 体重が重い場合は、現在の食事量を減らす必要があります。目安として1g減らすところから始めるのがオススメです。例えば、1日7g食べている場合は、1g減らして、1日6gのみ与えるようにします。体重が正常な場合は、減らす必要はありません。
  2. 1日分の食事は、1回で全部与えるのではなく、2〜3分割して与えます。例えば、1日6g与える場合は、3gを1日2回または2gを1日3回に分割して与えます。食事量が少なくなり、食事時間が短くなりますので、フォージングを組み合わせるのがオススメです。
  3. 毎日朝体重を測り、体重が減ってくるか確認します。2,3日様子を見て体重が減らない場合は、1gずつ食事量を減らしていきます。1日で1g以上体重が減る場合は、食事量が足りていないので、食事量を少し戻します。
  4. 理想体重になりましたら、これを維持するようにします。同じ食量を与えていても、季節や換羽、発情によって体重の増減があります。体重は必ず毎朝測り、体重によって食事量を増減する必要があります。
  5. 次の表は主な鳥種別の目安体重と最低食事量になります。体重は体格によって異なりますし、ボディコンディション(胸筋量)が正常かどうかも重要です。理想体重が分からない場合は、かかりつけの獣医師に聞くようにしてください。食事量は最低摂取量以下にはしないようにしましょう。
鳥種 目安体重 最低摂取量
セキセイインコ 35-45g 3g
オカメインコ 85-110g 5g
コザクラインコ 50-55g 4g
ボタンインコ 45-50g 4g
サザナミインコ 45-55g 4g
マメルリハ 28-33g 3g
ウロコインコ類 65-75g 5g
ブンチョウ 23-28g 2.5g

食事制限の注意点

  1. 理想体重になっても食事制限は続けてください。食べ放題に戻すとすぐにリバウンドします。
  2. 今まで好きなだけ食べていたため、空腹を強く感じるようになります。水をたくさん飲んで空腹を満たそうとする場合がありますので、この場合は飲水制限も行う必要があります。飲水制限は獣医師の指導の元で行ってください。また空腹で異物の誤食をする場合があります。特に布類や生花、観葉植物などを食べないように注意してください。
  3. 空腹を解消する最も有効な方法は、運動量を増やすことです。飛ぶことで交感神経が刺激されて代謝が良くなり、過剰な食欲を抑えやすくなります。

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