目次
飼い鳥の発情について
飼い鳥の病気は、そのほとんどが不適切な飼い方によるといっても過言ではありません。特に人工的な光周期の延長は、鳥を発情させる原因であり、飼い主にとっても獣医師にとっても大きな問題となっています。中でも雌の慢性発情、慢性産卵は、生殖器系の問題のみに留まらず、肝疾患や腎疾患、関節疾患までも引き起こし、症状発現をより複雑化しています。
ではなぜ飼い鳥はそれほどまでに発情してしまうのでしょうか。
この項では、発情の原因とそこから起こりうる病気、繁殖期の抑制法について解説します。
繁殖ステージの定義
鳥が発情するとよくいいますが、発情という言葉が繁殖期全体を指していると間違ってとらえている場合も多いと思います。
しかし鳥の繁殖周期には、発情期、抱卵期、育雛期、非発情期の4つのステージがあります。
今現在鳥がどのステージなのかを把握できなければ、繁殖期を抑制するための環境改善の対処法が出来なくなってしまいます。ます鳥の繁殖ステージについて解説します。
発情期
発情期は繁殖行動の始まりから抱卵するまでをいい、(1)求愛期と(2)造巣期(交尾期)の2つがあります。繁殖期の始まりは、まず雄が先に発情をし始め、求愛期を迎えます。そして雌に対して求愛行動を行い、雌はこの刺激によって発情が始まります。次に雄・雌ともに発情すると、造巣期(交尾期)に入り、巣作りをしながら交尾を繰り返し行います。巣が出来上がると産卵が始まります。
飼い鳥で最も問題となるのがこのステージであり、雄はお気に入りのものに対して交尾行動を行い、またインコ・オウム類の多くは餌を吐き戻し不衛生な状況となります。雌は攻撃性が強くなり、交尾姿勢をとります。
抱卵期
鳥は通常1つ目を産んでもすぐに抱卵はせず、3個ほどになってから抱卵を始めます。これは雛の大きさに差が出ないようにするためといわれています。抱卵期の雌は、卵の上にうずくまり、目をつぶって調子が悪そうに見えます。
卵が無くても抱卵行動をする場合があり、ケージの床や餌箱にうずくまったり、止まり木やハシゴなどの上で膨らんでじっとしていることもありあます。一見してかなり具合が悪そうに見えるため、病気と勘違いをして来院するケースもあります。
育雛期
卵が孵化すると育雛期に入ります。育雛期は(4)巣内育雛期と巣立ち後の(5)巣外育雛期(家族期)に分かれます。この時期の雌は、雛に餌を与えようとする衝動が起こり、特にインコ・オウム類の雌では、雛がいなくても雄の発情吐出のように餌を吐きつける行動が見られることがあります。この行動は比較的長い期間行われることが多く、不衛生な状況となることがあります。
非発情期
非発情期は、卵巣・精巣の活動が止まる時期で、温帯に生息する種類では、通常秋から冬です。熱帯や乾燥地域に生息する種類では、降雨量が減少する乾期がこの時期となります。この時期には、繁殖行動は全く見られなくなります。
持続発情に関連する問題点
持続発情が根本的な原因となっている病気は、数多くあります。
よってその発症機序を理解しなければ、2次的に発現してきた病気に対しての対症療法だけとなり、根本を見逃してしまうことになります。
ここでは持続発情によって引き起こされる病気とその発症機序について解説します。
雌の持続発情に関連する問題点
- 飼育環境が発情しやすい状態であると鳥は持続発情状態となり、エストロジェン(発情ホルモン)が持続的に分泌され、高エストロジェン血症を起こします。
- エストロジェンの影響で雌鳥は繁殖の欲求が強くなり、巣作り行動、巣篭もり行動といった発情兆候が多くなり、また攻撃的な性格に変化することもしばしばみられます。そして繁殖の欲求が満たされないと、毛引き症の原因にもなります。
- エストロジェンの影響で、腹部の筋肉が弛緩して垂れ下がり、そして常に卵巣が発達して卵黄が形成され、慢性的に産卵をします。この状態が続くと、卵塞(卵詰まり)を起こしたり、カルシウムの貯蔵量が減少して軟卵を産んだり、低カルシウム血症を起こして虚脱することがあります。さらには腹壁ヘルニア、卵管疾患、卵巣疾患、卵黄性腹膜炎、総排泄腔脱、卵管脱、骨軟化症などの重大な病気が引き起こされます。
- 卵黄の材料である蛋白質は、肝臓で産生されます。この肝臓での蛋白質産生の命令をしているのもエストロジェンです。持続的な高エストロジェン血症によって、常に肝臓から血液中へ蛋白質が放出されることになります。これによって肝臓が疲労し、肝機能障害が起こってきます。さらには肝機能障害と組織蛋白が枯渇することによって、羽毛の変形や変色、嘴や爪質低下による過長、血液凝固不全による嘴・爪への出血班形成、肺出血による呼吸困難などがみられるようになります。
- 鳥は卵を続けて産むために骨の中にカルシウムを蓄える機能を持っています。これもエストロジェンの作用によって起こります。高エストロジェン血症によって骨に過剰にカルシウム沈着を起こした状態を多骨性過骨症(Polyostotic Hyperostosis)と言います。カルシウムは常に蓄えられるばかりでなく、産卵する、しないにかかわらず常に骨への沈着と放出を繰り返しています。これは全身の骨で行われ、この状態が継続すると骨に変形が出てきます。特に関節面に変形が出ると変形性関節炎が引き起こされ、疼痛や麻痺によって飛翔困難や歩行異常が見られるようになります。また脊椎に変形や関節炎が出ると、両脚の麻痺や排便困難がみられるようになります。
雄の持続発情に関連する問題点
- 飼育環境が発情しやすい状態であると雄鳥も持続発情になります。
- これによって過剰な生殖行動の欲求が生まれ、特にインコ・オウム類では交尾行動を繰り返します。止まり木ですることを覚えた場合、1日に何度も擦り付けるため、排泄孔周囲が擦過傷で出血したり、羽毛が擦り切れたりすることもあります。またこの生殖行動の欲求が満たされない場合、毛引き症の原因になる可能性もなります。
- 同時に過剰なディスプレイ行動もみられる。これが問題になるのはオウム目鳥の特徴である発情吐出(図13)である。しかし常にペアとなるメスがいるわけではないので、多くの場合オスは、鏡などの光る物、おもちゃ、餌箱、止まり木、自分の足などお気に入りの場所を見つけ吐きつける。またメスがいた場合、食べさせすぎてメスが肥満してしまうこともある。吐いて時間が経ったものをまた食べるのを繰り返していると、カンジダ症の原因ともなる。
- 発情の持続は、常に精巣が発達していることを意味する。鳥は発情時と非発情時において精巣の大きさが何十倍~何百倍も異なる。発達した精巣は足の神経である坐骨神経を圧迫することがあり、これによって足が不完全麻痺を起こすことがある。これは主にセキセイインコに見られる。
- 鳥の精巣は哺乳類と異なり体外に出ていない。精巣や精子は熱に弱いため、哺乳類は体の外に出るよう進化したが、鳥は体外にあったのでは飛翔に邪魔になるため、腹腔内に存在する。そこで鳥は精巣を気嚢と接することによって、呼吸で冷却している。しかし発情によって常に発達した精巣は冷やされにくくなる。セキセイインコのオスには精巣腫瘍(図14)が非常に多く見られる。これは冷やされにくく、常に細胞分裂によって精子を産生している精巣は腫瘍化しやすくなるためと考えられる。
発情に影響する環境要因とその対処法
発情の起因、つまり非発情期から発情期に入ることに影響する環境要因とこれを抑制するための対処法について解説します。
(1) 光周期の延長
光周期の延長、つまり1日のうち明るい時間が長くなると、脳にある松果体がこれを察知し、メラトニンが分泌され、それと同時に視床下部よりGn-RHが分泌されることが、発情の始まりです。発情は光周期が長いほど強くなるということが、研究で分かっており、光周期が6~8時間より長くなると発情の刺激となります。 光周期が発情に大きく関与するのは、セキセイインコ、オカメインコ、キンカチョウなどの温帯、つまり四季のある地域に生息する種類です。しかし実際には、ラブバード、ヨウム、メキシコインコ類、バタン類、ブンチョウなどの一年を通じて光周期の変化が少ない熱帯に生息する種類も、明るい時間が長い方が発情しやすくなる傾向があります。
対策:なるべく早く暗くし、寝かせるようにします。理想的には夕方の5時か6時くらいには暗くして、静かな所において眠らせるのがよいでしょう。家族がいるところで布だけ掛けても、寝かせていることにはなりません。また暗くするには、完全に遮光し、一度暗くしたらちょっとでも光が入らないようにしなければ効果が出ません。
(2) 温度
四季のある地域に生息する温帯鳥は、気温が高くなる春から夏にかけて繁殖し、気温の低くなる冬には繁殖はしません。つまり温帯鳥にとって気温が高いということは、繁殖しやすい環境にあるということになります。よって冬でも暖房のかかっている部屋においておくと、季節感がなくなり、発情が続くこととなります。 熱帯鳥は、野生下で寒い時期がないため、温度よりも降雨量や湿度、食物の影響を受けるといわれていますが、飼育下では、季節に合わせて温度を下げてあげれば、温帯鳥と同様に発情しにくくなります。
対策:気温の変化による季節感を感じさせるようにします。特に冬は過保護にせず、寒くても耐えられるような体力作りをして、人と同じ生活環境におかないようにします。
寒ければ鳥は膨みますが、病気と鑑別するために毎日体重測定等の健康チェックをするとよいでしょう。
(3) 相手の存在
一般に雄は、雌よりも前に発情期を迎えますが、多くの鳥の雌は相手の存在、つまり雄の存在によって生殖腺が完全に回帰します。また雄のディズプレイだけでなく、仲間がいることや鳴いているといった視覚的および聴覚的な刺激も発情を促進します。
人に馴れている鳥は、人をパートナーや仲間と思っているので、人と同じ生活環境にいるということは、発情を助長してしまう可能性があります。
対策:雌に対しては、雄やその他にも鳥がいる場合は、分けて1羽だけにしてみます。しかしペアの結び付きが強いラブバードなどの鳥種では、雌だけに限らず、雄も精神的に不安定になって、毛引きすることがありますので注意が必要です。また1羽飼いで、人をパートナーや仲間と思っている場合は、人がいつもいない部屋に置くようにして様子をみたり、触ったり、話しかけ過ぎないようにして刺激を与えないようにします。
雄は相手がいなくても発情しますが、相手と見たてやすいおもちゃや鏡などは入れないようにします。
(4) 巣・巣材の存在
インコ・オウム類の雌、フィンチ類の雄と雌にとって、巣や巣材の存在は発情起因のための重要な刺激となります。特に雌鳥は、巣の探索や構築は発情してから始めるものではなく、これらをすることによって生殖腺が発達してきます。
対策:巣箱、ツボ巣に限らず、鳥が巣と思うようなものをケージに入れないようにします。床敷きの紙を齧るようでしたら、紙を使わないようにします。
また外に出した時に、衣服やカーテン、引き出しなどの中にもぐらせないようにします。
(5) 湿度(降雨)
熱帯気候のように一日の光周期が一年を通じて変動がわずかであるか、もしくは無い地域では、雨期が発情起因の要因となります。また温帯気候でも雨季は温度の上昇する時期でもあるため、温度と降雨の両方がそろわないと、生殖腺は発達しません。日本においては、梅雨の降雨量が増える時期に、発情する鳥が多く見られます。
対策:梅雨~夏にかけて湿度が上昇する時期には、除湿器等で湿度を下げるようにします。
(6) 食物の量と運動
食物が十分あるということは、発情起因の大きな要因となります。これは雛を育てるには、十分な食物がなければならないからです。ある鳥種では、十分に餌を与えられた場合、光刺激制限による生殖腺の不活化を無効にすることができるという報告もあります。またキンカチョウのような半乾燥地域に住む鳥では、緑草との接触により、生殖腺の発達が促進されます。雨が降らず、よい草作物が育たなければ、キンカチョウは繁殖しません。これは、草は炭水化物に富んだ種を実らせ、またこれを食すことにより、十分な代謝水を得られ、草自体は巣材となるからです。
非発情期と発情期の違いに運動量があります。非発情期は乾季や冬であり、食物が近くで手に入らないため、食物を求めて飛ぶんで移動する時間が多くなります。それに反して発情期は雨期や春であり、食物が巣の近くで手に入るため、飛ぶんで移動する時間が減ります。このことから運動量が減ると、発情に適した時期となり、発情しやすくなります。
対策:摂取量が多く、正常よりも体重がある場合は、食餌制限をして、体重を正常体重に戻すようにします。なお食事制限は、病院で適切指導のもとで行って下さい。またセキセイインコ、オカメインコ、キンカチョウなどの半乾燥地域に生息する鳥種では、試験的に青菜の給餌を停止してみる方法もあります。そして運動量を増やすようにしましょう。
(7) ストレスの欠如
人に馴れた鳥の場合、飼育環境に対して、外敵のストレスを感じないため、発情しやすくなります。馴れていない、もしくは野鳥は捕らわれた環境においては、ストレスを感じるため発情が抑制されやすくなります。
対策:ケージやその置き場所を周期的に変えたり、親戚の家など、たまに知らない場所に連れて行ってみるのも一つの方法です。あまり過度の変化はストレスになるので、注意が必要です。
発情期を助長する環境要因とその対処法
次に発情してしまった場合の対処法について解説します。発情させないための対処法と少し変わる部分があります。
(1) 光周期の延長
一度発情期を迎えてしまった鳥に対しても、光周期を短くすることは効果的です。また発情期の雌は巣に篭る時期のため、薄暗いことが発情を助長します。
対策:なるべく早く暗くし、寝かせるようにします。そして雌に対しては、昼間にケージに布を掛けたりして薄暗くならないようにします。部屋自体が暗い場合は、照明を近くに点けて、照度を上げるようにします。トゥルーライト等の紫外線ライトの使うとよいでしょう。
(2) 温度
外気温が暖かいということは、発情を助長します。
対策:発情期に外気温を低下させることによって、発情が休止する可能性があります。しかし急激な温度の低下は、調子を崩す原因となるで、注意しながら温度を下げるようにしなければなりません。特に産卵中の雌にとっては卵塞の原因になるので注意が必要です。
(3) 相手の存在
雌は、発情期に相手がいることは、発情を助長する可能性があります。雄は相手がいなくても発情します。
対策:雌に対しては、雄や他の鳥がいる場合にはそれらから離し、人も相手をしないようにします。また雌雄ともに排泄孔を擦り付ける物を取るようにします。
(4) 巣・巣材の存在
雌では、巣や巣材の存在は、発情を助長します。
対策:巣やそれに値する物、巣材は取るようにします。卵がある場合には、これも取るようにします。しかし産卵が止まらないようであれば、卵を撤去しないか、偽卵を与え、抱卵期へ移行さてみる方法もあります。
(5) 湿度(降雨)
発情期に入ってしまった場合、湿度の調節は、発情の抑制に効果がありません。しかし梅雨の時期は湿度を下げるべきです。
(6) 食物の量と運動
食物が十分あることと運動時間が少ないことは、発情を助長します。
対策:専門医の指導下にて食事制限を行ってください。しかし発情吐出のひどいインコ・オウム類の雄では、吐いた餌を再び食べない場合、極端に摂取量が減る可能性があるため注意が必要です。そして食事制限による空腹を利用して、餌でおびき寄せるなどしながら、運動時間をふやしましょう。
(7) ストレスの欠如
ストレスを感じた場合、発情が止まる可能性があります。
対策:ケージやその置き場所を周期的に変えたり、親戚の家など、たまに知らない場所に連れて行ってみるのも一つの手です。あまり過度の変化はストレスになるので、注意が必要です。
雌の抱卵期を助長する環境要因とその対処法
抱卵が続くことは、体力を消耗します。また非常に具合が悪いように見えるので、非発情期の状態へ移行させる努力をします。
(1) 光周期の延長
抱卵は、光周期の影響を受けません。巣に篭る時期のため、薄暗いことが、抱卵を助長します。
対策:発情が止まった後、再び発情しないようにするため、早く寝かせること自体は続けるようにします。発情期と同様に、昼間にケージに布を掛けたりして薄暗くならないようにします。部屋自体が暗い場合は、照明を近くに点けて、照度を上げるようにします。
(2) 温度
暖かいことは、抱卵行動を継続させる可能性があります。
対策:外気温を低下させることは、抱卵を中止する可能性があります。急激な温度変化に注意する必要があります。
(3) 相手の存在
相手の有無は、抱卵に影響しません。
(4) 巣・巣材の存在
巣および卵がある場合、抱卵が続く原因となります。
対策:巣やそれに相当する物および卵または鳥が温めようとする物がある場合は、撤去すします。
(5) 湿度(降雨)
湿度は、抱卵に影響しません。
(6) 食物の量と運動
食物が十分あることと運動時間が少ないことは、抱卵を継続させます。
対策:専門医の指導下にて食事制限を行ってください。そして食事制限による空腹を利用して、餌でおびき寄せるなどしながら、運動時間をふやしましょう。
(7) ストレスの欠如
ストレスを感じた場合、抱卵が止まる可能性があります。
対策:ケージやその置き場所を周期的に変えたり、親戚の家など、たまに知らない場所に連れて行ってみるのも一つの手です。あまり過度の変化はストレスになるので、注意が必要です。
雌鳥の育雛期の発現とその対処法
インコ・オウム類の雌では、雛がいなくても雄の発情吐出のように餌を吐きつける行動が見られることがあります。
通常発情または産卵後に抱卵期なしに始まります。今のところ雛鳥がいないのになぜ、育雛期に入るのかは分かっていません。
もしこのような状態になった場合は、次のような対処を試みてみます。
(1) 光周期の延長
育雛は、光周期の影響を受けません。巣に篭る時期のため、薄暗いことが、育雛を助長する可能性があります。
対策:再び発情しないようにするため、早く寝かせること自体は続けるようにします。発情期と同様に、昼間にケージに布を掛けたりして薄暗くならないようにします。部屋自体が暗い場合は、照明を近くに点けて、照度を上げるようにします。
(2) 温度
暖かいことは、育雛行動を継続させる可能性があります。
対策:外気温を低下させることは、吐出を中止する可能性があります。急激な温度変化には注意しなければなりません。
(3) 相手の存在
相手の有無は、育雛期に影響しません。
(4) 巣・巣材の存在
巣の有無は、吐出に影響しません。
対策:巣やそれに相当する物ある場合は、撤去するようにします。
(5) 湿度(降雨)
湿度は、育雛期に影響しません。
(6) 食物の量
食餌量の制限は、育雛行動を抑制することができる可能性があります。
対策:食事制限を行ってみます。しかし吐いた餌を再び食べない場合、極端に摂取量が減る可能性があるため注意が必要です。
(7) ストレスの欠如
ストレスを感じた場合、育雛期が止まる可能性があります。
対策:ケージやその置き場所を周期的に変えたり、親戚の家など、たまに知らない場所に連れて行ってみるのも一つの手です。あまり過度の変化はストレスになるので、注意が必要です。
ホルモン剤による発情抑制
発情の抑制は環境改善のみ行うのが望ましいですが、それだけで発情を完全にコントロールするのは難しいのが現状です。これは一般的な種類の飼い鳥であるほど顕著であり、発情しやすい、繁殖しやすいからこそ一般的な飼い鳥なのです。そこで環境の改善だけで発情が治まらない場合には、ホルモン剤を使った発情の抑制が必要となることがあります。
犬や猫であれば、発情が問題となった場合は、避妊・去勢手術といった外科的な対処が可能です。しかし鳥では今のところ容易に外科的なコントロールが可能ではありません。人の環境下で生活することによるホルモンバランスの崩れは、何らかの形でコントロールする必要があります。そこで鳥では外科的な対処ではなく、ホルモン剤を使ってコントロールするのです。アメリカにおいてはすでに以前からこのような考え方を取り入れ、ホルモン剤による発情コントロールを行っており、日本においても一般的になってきています。
発情はエストロジェンにより発現するため、発情の抑制にはエストロジェンの分泌を抑制するか、エストロジェンに拮抗する薬剤を選択します。鳥の発情抑制には、黄体ホルモン製剤、抗エストロジェン剤、Gn-RH誘導体が用いられています。使用は専門医に相談して下さい。
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